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飢餓同盟

安部公房 著

ユートピアの先にあるのは安楽か狂気か

眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。

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◇感想と解説

つきまとう陰気くさいサビのイメージ。

ここはあべこべの世界。
まじめにやればやるほど滑稽になってしまう。

いまどき、革命とかピンとこないかもしれないけど21世紀の今だって、私たちは革命が起こるのを期待してる。時代が変わっても人はユートピアを求め続ける。

しかし…この物語に出てくる生い立ちのやつら、今じゃ考えられない…。
バックグラウンドに第二次世界大戦がチラチラと見え隠れする。
読めば読むほど、昭和とはすごい時代だったんだと感じる。

私が生きてる時代は、このような大変な思いをした人たちが、次の世代には同じような苦労をさせたくないと必死で作り上げた世界なんだなと痛感する。
私の子供時代はまだ昭和で、戦後のかおりもまだ多少残っていたけど、この物語に出てくるような変人って減ってしまったなぁ。

しかし、電力を支配しようとする主人公の考え。
2011年3月11日を経て読むと泣けてくる。

状況は時代とともにだいぶかわってしまったけども、あの大震災を経て、この物語に登場する人々の想いが少しはわかるようになったかなと思った。

◇情報

1954.日本

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