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水中都市・デンドロカカリヤ

安部公房 著

このサイトの名前の由来となった短編が収録

ある日突然現われた父親と名のる男が、奇怪な魚に生れ変り、それまで何の変哲も無かった街が水中の世界に変ってゆく『水中都市』、コモン君が、見馴れぬ植物になる話『デンドロカカリヤ』、安部短編作品の頂点をなす表題二作に、戯曲「友達」の原形となった『闖入者』や『飢えた皮膚』など、寓意とユーモアあふれる文体の内に人間存在の不安感を浮かび上がらせた初期短編11編を収録。

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◇感想と解説

この短編集に収録の 『デンドロカカリヤ』 はこのサイトの名前の由来となっている。
デンドロカカリヤというのは小笠原固有種のワダンノキ(Dendrocacalia)である。

主人公のコモン君はこの珍しい植物 デンドロカカリヤになってしまう。コモン君は、その名が表している通りどこにでもいるようなありふれた(common)男。だからデンドロカカリヤなんかになるのには抵抗がある。うっかりしてると、すっと植物になってしまうので、精神を集中させて彼は必死に植物にはなるまいと頑張る。

それが私には、まだ世の中では一般的とは思われないようなところに自分が属していて、それにうすうす感づいてはいるものの、なかなか自分でも認められないという状況。そういう状況なのではと見えてしまう。
コモン君! 早く植物サイドに行っちゃいな~!! って。

本人は嫌がっているが、おそらく、コモン君的には植物である状態の方が自然なのだ。

「植物になる」ということが、何を象徴してるのだろうと考えるとき、ネガティブなイメージを想像する人もいるかもしれないが、私はこの物語においてはそれを感じない。

無理やり世間とあわせて「common」でいるよりも本来の自分の姿に素直にね。

そういう内容に読めてしょうがない。安部公房がどんな思いでもの物語を書いたのかはわからないが…物語全体にイケイケ感が漂っているように思えてならないんだ。イケイケコモン!! 行ってしまえ~!!

これは自己解放の物語。そうやって勝手に解釈して私は自分のサイトの名前に混ぜ込んだのだ。

◇情報

1964.日本

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