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> 壁

安部公房 著

自己を包み込む壁目の前に立ちはだかる壁

ある朝、突然自分の名前を喪失してしまった男。
以来彼は慣習に塗り固められた現実での存在権を失った。
自らの帰属すべき場所を持たぬ彼の眼には、現実が奇怪な不条理の塊とうつる。
他人との接触に支障を来たし、マネキン人形やラクダに奇妙な愛情を抱く。
そして……。
独特の寓意とユーモアで、孤独な人間の実存的体験を描き、その底に価値逆転の方向を探った芥川賞受賞の野心作。

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◇感想と解説

安部公房の記念すべき最初の短編集である。

三部作になっていて、第一部の 『S・カルマ氏の犯罪』 は、第25回芥川賞を受賞、第三部の 『赤い繭』 は、第2回戦後文学賞を受賞した。

とんでもねぇっす。

何がって?

内容が・・・・。

ぶっとびすぎ。

この世界に入る前にまず覚悟してほしい。
ここには理屈だの常識だのはない。

読み解こうとすればするほど深く迷い込む迷宮。

手始めに、この短編集の中の登場人物が熱唱する一篇の詩を紹介しておこう。

これがおまえの部屋でないというのなら
私は色鉛筆を食べて死んでもいい
一ダース百二十円の色鉛筆
半分食べれば確実という証明書つきのやつを
いっぺんに全部食べて死んでもいい

・・・・なんなの!ほんと!

◇情報

1951.日本

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