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タイタンの妖女

カート・ヴォネガット・ジュニア 著

宇宙とは何か。人類とは何かを問うた哲学。
ブラックすぎるよユーモアが。

「時間等曲率漏斗」 (クロノ・シンクラスティック・インファンディブラム) と呼ばれる現象に飛び込んだウィンストン・ナイルス・ラムフォードは、時空を超えて、宇宙の広範囲にあまねく存在するようになった。
そして彼は人類を救済すべく、大富豪マラカイ・コンスタントを呼び寄せて彼の運命に大きな影響を与える。
だが、ラムフォードの意図は誰にも計り知れず、当コンスタントおよび巻き込まれる人々は何もわからないまま果て無き旅を続けるはめになるのであった!
全知全能のラムフォードが見たものは何だったのか。
そしてなぜ、コンスタントが必要だったのか。想像絶する途方もない理屈がそこにはあったのだ・・・。

◇感想と解説

途方もない。

途方もないよ!!!!!!!

何なんだ、この話。

無茶苦茶なストーリーを追っていくうちに、最初は全く魅力を感じなかった主人公に深い愛情を感じるようになり、最終的には彼と全人類のために涙をながし、ふと我に返ると人生観までも変わっていた…なんて魔法のようなことが起こる、恐ろしい物語。

私たちは何のために生きているのか。
人類は何のために存在するのか。
誰のために生き、何のために社会を動かしているのか。

この果てしない疑問に対する1つの回答案がこの本から差し出されている。

それを思うと泣かずにはおれない。
真相はこれなのかもしれない、という恐怖と安堵。

この物語の後半に用意されているのは、心の奥底から湧き出てくる静かな感動と哀愁の景色。
私はこの物語の美しくも儚く寂しいエンディングをいつまでも忘れられない。

人生はすばらしい。
何があろうと無駄はない。

人生の全てがまったくのムダな作業であったとしても、それはそれで大変素晴らしい。

ええじゃないか!!! ええじゃないか!!!

これでいいのだ!!!!

◇情報

1959.USA/The Sirens of Titan

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