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デスペレーション

スティーヴン・キング 著

お祈り小僧と死体の山

ネヴァダ州の寂れた鉱山町の地底深く封印された正体不明の何かが、息を吹き返した。容赦ない殺戮。脱出と救済の鍵を握るのは、神に触れ力を授かった少年と落ちぶれつつある作家。神と人生の問題にまで分けいる渾身の力作。

◇感想と解説

キングの本の中ではダントツでグロいんじゃないだろうか…。
とにかく死体だらけなのだ。
折り重なる死体から漂う臭気と砂漠の熱風に息が詰まるような、そんな感じ。嗅いだことはないけど。

死から逃れようと逃げ惑う登場人物。誰が犠牲になって誰が助かるのかしら??とハラハラドキドキして最後まで気が抜けないストーリーだ。アクション スプラッター ホラーが好きな人には超おススメ。

ただし、『デスペレーション』はただのスプラッターものではない。

物語にのめり込むにつれ、神秘的な高揚感を味わわされ、いつしかこのグチャグロストリーが聖なるストーリーと変貌を遂げる。

この物語では幾度となく『神』について言及されるので、クリスチャン的な本なのかと勘違いする人もいるかもしれない。
でもそれは違う。単に登場人物がキリスト教徒だったというだけで、彼らが対峙してる清きもの邪悪なるものの真の正体はわからない。

“この世の不可解な出来事を、人は自らの宗教的概念で解釈する”
ということなのだ。

そして、2011年3月11日を経て読むと、この物語にさらなる恐怖が見出せる。
地中に処理できない代物を埋めてはいけない~!!! 何万年も経ったら何が埋まってるか忘れて掘り返しちゃうじゃん!!!

なお、『デスペレーション』 の次には間髪あけずにリチャード・バックマン著の 『レギュレイターズ』 を読むのがおススメ!!!

▼ネタバレを開く

書には『ローズ・マダー』の登場人物 シンシア・スミスが再登場する。
男に虐待されて逃げてきたパンク娘。
なんかとても魅力的なキャラクター。

◇関連作品

レギュレイターズ

リチャード・バックマン 著

遺稿という形で発表された 『デスペレーション』 のパラレルワールド。

『デスペレーション』の物語は終わったわけではなかった。舞台は一転してオハイオ州の静かな住宅街。夏の夕立のように、SFアニメや西部劇の登場人物が突然現れ、住民を襲撃する。町の空間は歪み、砂漠の町と子供の落書きの世界が浸食する。町を異変から救うのはいったい誰なのか。鍵を握るのは自閉症の少年だった……。

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ローズ・マダー

スティーヴン・キング 著

『デスペレーション』 には 『ローズ・マダー』 の登場人物が出てくる。

このままでは、殺される―ある朝、シーツについた小さな血の染みをみつけて、ローズはそう口にしていた。優秀な刑事の夫ノーマンも、家ではサディストの暴君。結婚後の14年間暴行を受け続けたローズは心身ともにもう限界だった。逃げだそう。あの人の手の届かないところへ―。だが、家出をした妻をノーマンが許すはずがない。残忍な狂気と妄執をバネに夫の執拗な追跡が始まった。

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◇情報

1996.USA/Desperation

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複数の作品形態がある場合は、存在するものから ハードカバー/文庫/Kindle/DVD/Blu-ray/4K/Prime Video(字幕/吹替) の順番でリンクします。

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