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骨の袋

スティーヴン・キング 著

美しい湖のほとりにとりまく怨霊の物語

最愛の妻に先立たれたベストセラー作家マイク・ヌーナン。
彼はその後毎夜の悪夢に悩まされる。夢の舞台は決まって妻との思い出が宿る湖畔の別荘。ヌーナンは吸い寄せられるように別荘へと向かった。
そこで彼を待ち受けていたのは、彼の運命を激変させる一人の少女。怪奇現象が多発し、過去の忌まわしい犯罪に対して死者がヌーナンにつきまとう。
絶叫ゴースト・ストーリーの開幕。

◇感想と解説

突然亡くなった妻。その妻にどうやら秘密があったようだ。

亡くなった人の物言わぬ訴えの表現がとてもリアルで身につまされる。彼女はここでいったい何をしていたんだろう…。
伴侶を失ったショックで書けなくなってしまった売れっ子小説家の底なしの不安感と、妻の秘密、そして自分と何の関係があるのかさっぱりわからない怨霊の恐怖。これらがうまいことあわさり読者には解決すべき謎がふんだんに与えられる。そして運命に引き寄せられるかのように解かれていく謎と町の歴史が重なりだし、物語は結末に向かってぐいぐいと進む。

キングにしてはストーリーがすっきりしてるので読みやすいといえば読みやすいが、退屈と言えば退屈だ。ごちゃごちゃした物語が苦手な人にはおすすめ!

全体を通して、人気作家であるマイク・ヌーナンが書けなくなってしまう恐怖が執拗に繰り返されていて、これはキングの恐怖なのかしら…と思ってしまう。書けなくなるのはさぞかし恐ろしいことだろう。こういうライターズ・ブロックに対して作家たちがどういう対処方法を持っているのかが描かれていてとても興味深い。

◇関連作品

IT

スティーヴン・キング 著

≪デリー≫ が舞台の物語。『骨の袋』 の主人公の自宅は ≪デリー≫ にある。『骨の袋』 には 『IT』 の登場人物の名前がチラっと出てくる。

少年の日に体験した恐怖の正体は何だったのか? 二十七年後、引き寄せられるように故郷の町に戻り、IT(それ)と対決する七人。

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ダーク・ハーフ

スティーヴン・キング 著

『骨の袋』 で 『ダーク・ハーフ』 の登場人物に関する言及がある。

売れない純文学作家サド・ボーモントには、世間に知られていないもう一つの顔があった。血なまぐさい犯罪小説を書く、ジョージ・スタークなるベストセラー作家の顔が。本来の自分の仕事に専念したくなったサドはある日、すべてを公表し、ペンネームを葬り去ることにする。それがどんな悪夢の幕開けになるかも知らずに…。

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ジェラルドのゲーム

スティーヴン・キング 著

『骨の袋』 と同じく ≪ダークスコア湖≫ が舞台の物語。共通の登場人物も出てくる。

季節はずれの山中の別荘。妻を緊縛してセックス遊戯にふけるはずだったジェラルドは急死、床に転がっている。バンザイの恰好で両手をベッドポストにつながれたまま取り残されたジェシーを、渇き、寒さ、妄想が襲う。そしてさまざまな“声”が彼女の思考に入りこんで…。

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◇情報

1998.USA/Bag of Bones

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