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デッド・ゾーン

スティーヴン・キング 著

眠りから目覚めて見えた世界は…?
キング版 浦島太郎 は悲劇のヒーロー

ジョン・スミスは人気者の高校教師だった。
恋人のセーラとカーニバルの見物に出かけたジョンは、屋台の賭で500ドルも儲けた。なぜか彼には当りの目が見えたのだ。
愛を確認し合ったその夜、ジョンは交通事故に遭い、4年半の昏睡状態に陥った。
誰も彼が意識をとり戻すとは思わなかったが、彼は奇跡の回復を遂げた。
そして予知能力も身につけた。
そして―、彼の悲劇が始まった。

◇感想と解説

『デッド・ゾーン』 の最大の特徴はなにか。背景描写のリアルさと細かさではないだろうか。それはキング作品の中でダントツと言ってもいいくらい。70年代、激動のアメリカ。

ニクソンが史上初めての辞任した大統領になり、ベトナム戦争が終わったころ。本書の主人公であるジョン・スミスが見たアメリカは、キングの見たアメリカそのもの。ちなみに、ジョン・スミスとキングは同じ歳である。

ストーリーの端々に実名のアイテムや人物がふんだんに盛り込まれ、当時を知る人が読めばそれらの名前がリアリティを生み出す効果になるだろうし、私のような世代にとっては70年代を疑似体験できてとても興味深い。
ただし、ジョンの生きるアメリカは私たちの世界のアメリカとはちょっと違っている。

それにしても、アメリカの選挙活動って、日本では考えられないテンションで、ホントに面白い。

みんな、明るい未来を約束されたがっている。

こういう世の中にポコっと産まれてしまった、予知能力を持った男。。
みんながほっとくわけもなく。

そう、これは望まなくして人と違う能力を持ってしまった男の苦悩を描いた作品だ。
主人公ジョン・スミスのモンモンとした感じが、何となくスパイダーマン を彷彿とさせる。

ちょっとここで、ジョン・スミスという名前に注目してみようと思う。
実は、ジョン・スミスって Wikipedia に載ってるほど平凡な名前なのだ。

ジョン・スミス – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%9F%E3%82%B9

日本でいうと、山田太郎って感じかな?
あまりに一般的すぎるので、英語圏でジョン・スミスが物語に出てくると、自動的に偽名とみんな思うほどだそうだ。

こんな Wikipedia にも載るほどの平凡な名前を主人公の名前にしているのが、一種のメッセージとなっている。全く特別でない、どこにでもいるような奴が、急に物語の主人公になってしまうのだ。このギャップが、この物語の骨あり肉となっている。

もしもジョンがもう少し変わり者だったり、目立ちたがり屋だったり、もしくは行動的だったりしたら、これは全く別のお話になっていただろう。独特の哀愁が損なわれてしまう……彼はホントに向いてなかったんだよね。ひとつの小説の主人公になってしまうなんて…。

ただ、ジョンが捜査に関わる重大な事件がある。

フランク・ドッドの事件。

キングの他の作品を読んでいると、この名前に出会うことが度々ある。「あの忌まわしい事件」 的な感じで、キング作品全般にわたってフランク・ドッドについての言及が繰り返される。『デッド・ゾーン』を読んでないと「何それ??」って感じで意味不明なくだりになってしまうんだけど。

キングの他の作品を読んで、フランク・ドッド事件って何?と思った人はこの『デッド・ゾーン』を読めばよい。

それから、フランク・ドッド事件が起きた町も重要だ。
キングファンにとってはお馴染みの町 ≪キャッスルロック≫ なのである。キング作品に初めて ≪キャッスルロック≫ が登場するのもこのときだ。

『デッド・ゾーン』はもちろん単体でも楽しめる作品だが、キングの他の作品とあわせて楽しめる物語でもある。

そして、孤高のヒーロー ジョン・スミスに事件の調査依頼をするのがジョージ・バナーマンという保安官。彼はキングのいくつかの作品に出てくる。

◇ジョージ・バナーマン保安官について

キングの作品には、架空の町 ≪キャッスルロック≫ を舞台とした一連の作品群があり『デッド・ゾーン』もその一つに含まれている。≪キャッスルロック≫ ものには、お馴染みの登場人物というのが数人いて、ジョージ・バナーマン保安官もその一人である。

私がざっと記憶してるところ、ジョージ・バナーマンは、『デッド・ゾーン』 『スタンド・バイ・ミー』 『クージョ』 に出てくる。

キング作品にはこのような物語間の繋がりがたくさんあり、それを見つけるのもまた別の楽しみだったりする。彼の多くの作品が映画化されているので、映画でもこの楽しみがあったらいいのにと思うのだけど。。なかなかむずかしい。

なんだけど、このジョージ・バナーマンという保安官は、映画の中でも、作品をまたいで登場するので、ついでに紹介しておこうと思う。
それがこのふたつ。

『デッド・ゾーン』 と 『クージョ』 である。
『デッド・ゾーン』 を読んだあとに 『クージョ』 を読む、もしくは観るのがオススメ!!!

◇関連作品

スタンド・バイ・ミー

スティーヴン・キング 著

≪キャッスルロック≫ を舞台としたお話。
バナーマン保安官が出てくる。
『デッド・ゾーン』 より前のお話。

行方不明だった少年の事故死体が、森の奥にあるとの情報を掴んだ4人の少年たちは、「死体探し」の旅に出た。その苦難と恐怖に満ちた2日間を通して、誰もが経験する少年期の特異な友情、それへの訣別の姿を感動的に描く表題作は、成人して作家になった仲間の一人が書くという形をとった著者の半自伝的な作品である。他に、英国の奇譚クラブの雰囲気をよく写した1編を収録。

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クージョ

スティーヴン・キング 著

≪キャッスルロック≫ を舞台としたお話。
バナーマン保安官が出てくる。
『デッド・ゾーン』 より後のお話。

子供好きの忠犬クージョは、体重二百ポンドのセント・バーナードだが、コウモリにひっかかれて狂犬病をうつされた。理由のない腹立ちに苛まれて、心ならずも飼主を襲う犬。たまたま訪れたドナとタッド母子は、炎天下、故障した車に閉じこめられた。人の不和、不安の象徴とも思えるお化けの影の下、狂った巨犬と容赦ない灼熱に悩まされる恐怖を克明に描いて、ひたすらコワい長編。

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ダーク・ハーフ

スティーヴン・キング 著

≪キャッスルロック≫ を舞台としたお話。
『デッド・ゾーン』 に関わる話がまあまあ出てくる。
『デッド・ゾーン』 より後のお話。

売れない純文学作家サド・ボーモントには、世間に知られていないもう一つの顔があった。血なまぐさい犯罪小説を書く、ジョージ・スタークなるベストセラー作家の顔が。本来の自分の仕事に専念したくなったサドはある日、すべてを公表し、ペンネームを葬り去ることにする。それがどんな悪夢の幕開けになるかも知らずに…。

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ニードフル・シングス

スティーヴン・キング 著

≪キャッスルロック≫ を舞台としたお話。
同じく、『デッド・ゾーン』 に関わる話がまあまあ出てくる。
『デッド・ゾーン』 より後のお話。

平穏な田舎町キャッスルロックに骨董屋が開店した。店主は素性の知れぬよそ者、でも客はみな目を見張る。欲しくてたまらなかった品々が格安で手に入るのだ。条件はひとつ、店主に頼まれた「いたずら」を実行すれば…。キング作品でおなじみの町に、またも怪異が襲い来る。かつてないスケールと破壊力をそなえた大破局が。

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◇情報

1979.USA/The Dead Zone

◇Amazonで購入する

複数の作品形態がある場合は、存在するものから ハードカバー/文庫/Kindle/DVD/Blu-ray/4K/Prime Video(字幕/吹替) の順番でリンクします。

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