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ニードフル・シングス

スティーヴン・キング 著

キャッスルロックよ永遠に…

平穏な田舎町キャッスルロックに骨董屋が開店した。店主は素性の知れぬよそ者、でも客はみな目を見張る。欲しくてたまらなかった品々が格安で手に入るのだ。条件はひとつ、店主に頼まれた「いたずら」を実行すれば…。キング作品でおなじみの町に、またも怪異が襲い来る。かつてないスケールと破壊力をそなえた大破局が。

◇感想と解説

この物語のキーワードはなんだろうか。

バタフライ効果

「ブラジルでの蝶の羽ばたきはテキサスでトルネードを引き起こす」 っていう、あれ。

キング作品ではおなじみの町≪キャッスルロック≫にできた新しいお見せ「ニードフル・シングス」。
何の変哲もない(ように見える)田舎町に暮らす、純朴な住民たちの心をちょっと押す。それがこのお店のやることである。この、チョイ押しの歪みが、だんだんとすごいことになっていく。小さな誤解とすれ違いの連続。それで一つの町を破壊することはできるだろうか。この物語は、そういうキングの実験のひとつなのかもしれない。

この架空の町を舞台に、キングは数々の物語を書いてきた。夏休みに線路を辿って死体を見に行くお話や、狂犬病になったセントバーナードのお話、超能力者が事件を解決するお話、などなど。

これだけ大変なことがたくさん起こっているにも関わらず、今までの≪キャッスルロック≫ならばビクともしない。大事件が起きても、人々の日常は続き、そして事件は噂話へと姿をかえてきた。

いままではそうだった。

だから、今回のお話も、そんな ≪キャッスルロック≫ で起こったちょっと変わった日常の話なのかな??とか思って読み始めると、その異様さにだんだんと心配になってくる。

え?これまずくない??
大丈夫???

今までと違う質の歪みとねじれ。
どうなっちゃうの?? ≪キャッスルロック≫ ??!!

もちろん 『ニードフル・シングス』 は単独で読んでも楽しめるようにはなっているが、やはり、知ってると知らないのでは大きな差がある。このとんでもないお店と純粋な住民たちの物語を充分に楽しむために、「関連作品」に上げた本を前後に読むことをおすすめしちゃう。

◇関連作品

スタンド・バイ・ミー

スティーヴン・キング 著

『ニードフル・シングス』より先に読むのがおすすめ(映画でもよい)。『ニードフル・シングス』 であの人が帰ってくる!!!

行方不明だった少年の事故死体が、森の奥にあるとの情報を掴んだ4人の少年たちは、「死体探し」の旅に出た。その苦難と恐怖に満ちた2日間を通して、誰もが経験する少年期の特異な友情、それへの訣別の姿を感動的に描く表題作は、成人して作家になった仲間の一人が書くという形をとった著者の半自伝的な作品である。

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ゴールデンボーイ/刑務所のリタ・ヘイワース

スティーヴン・キング 著

本中編集収録の『刑務所のリタ・ヘイワース』を『ニードフル・シングス』より先に読むのがおすすめ(映画でもよい)。
≪キャッスルロック≫ の住民にとって、ショーシャンクと言えば刑務所、刑務所といえばショーシャンクなのだ。

トッドは明るい性格の頭の良い高校生だった。ある日、古い印刷物で見たことのあるナチ戦犯の顔を街で見つけた。昔話を聞くため老人に近づいたトッドの人生は、それから大きく狂い…。不気味な2人の交遊を描く「ゴールデンボーイ」。30年かかってついに脱獄に成功した男の話「刑務所のリタ・ヘイワース」の2編を収録する。

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クージョ

スティーヴン・キング 著

『ニードフル・シングス』より先に読むのがおすすめ。≪キャッスルロック≫ の歴史に残る痛ましい事故のお話。『ニードフル・シングス』 の主人公 パンクボーン保安官をはじめ住民の多くがこの事故のことを度々回想する。

子供好きの忠犬クージョは、体重二百ポンドのセント・バーナードだが、コウモリにひっかかれて狂犬病をうつされた。理由のない腹立ちに苛まれて、心ならずも飼主を襲う犬。たまたま訪れたドナとタッド母子は、炎天下、故障した車に閉じこめられた。人の不和、不安の象徴とも思えるお化けの影の下、狂った巨犬と容赦ない灼熱に悩まされる恐怖を克明に描いて、ひたすらコワい長編。

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デッド・ゾーン

スティーヴン・キング 著

『ニードフル・シングス』より先に読むのがおすすめ。住民たちはことあるごとに『デッド・ゾーン』 に出てくるあの忌まわしい事件のことを噂する。

ジョン・スミスは人気者の高校教師だった。恋人のセーラとカーニバルの見物に出かけたジョンは、屋台の賭で500ドルも儲けた。なぜか,彼には当りの目が見えたのだ。愛を確認し合ったその夜、ジョンは交通事故に遭い、4年半の昏睡状態に陥った。誰も彼が意識をとり戻すとは思わなかったが、彼は奇跡の回復を遂げた。そして予知能力も身につけた。そして―、彼の悲劇が始まった。

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ダーク・ハーフ

スティーヴン・キング 著

『ニードフル・シングス』より先に読むのがおすすめ。『ニードフル・シングス』の主人公 アラン・パンクボーン保安官が登場する。

売れない純文学作家サド・ボーモントには、世間に知られていないもう一つの顔があった。血なまぐさい犯罪小説を書く、ジョージ・スタークなるベストセラー作家の顔が。本来の自分の仕事に専念したくなったサドはある日、すべてを公表し、ペンネームを葬り去ることにする。それがどんな悪夢の幕開けになるかも知らずに…。

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図書館警察

スティーヴン・キング 著

『ニードフル・シングス』より先に読むのがおすすめ。『ニードフル・シングス』には、当中編表題作の 『図書館警察』を読んでいないと「?」になってしまう場面がある。それから同収録の『サン・ドッグ』 は、『ニードフル・シングス』が始まる直前、同じ建物で起こった物語。

あの図書館には何かがいる。不気味な貼り紙、冷酷な司書、期日に本を返さないと現れる図書館警察。幼い頃の恐怖が甦り、サムの心を侵す。戦え、心の闇を消し去るのだ―恐怖に対決する勇気を謳い、感動を呼ぶ表題作。さらに異界を写すカメラがもたらす破滅を描く「サン・ドッグ」。

ジェラルドのゲーム

スティーヴン・キング 著

『ニードフル・シングス』より後に読むのがおすすめ。『ニードフル・シングス』 の出来事についての言及がある。

季節はずれの山中の別荘。妻を緊縛してセックス遊戯にふけるはずだったジェラルドは急死、床に転がっている。バンザイの恰好で両手をベッドポストにつながれたまま取り残されたジェシーを、渇き、寒さ、妄想が襲う。そしてさまざまな“声”が彼女の思考に入りこんで…。

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骨の袋

スティーヴン・キング 著

『ニードフル・シングス』より後に読むのがおすすめ。『ニードフル・シングス』 の登場人物についての言及がある。

最愛の妻に先立たれたベストセラー作家マイク・ヌーナン。彼はその後毎夜の悪夢に悩まされる。夢の舞台は決まって妻との思い出が宿る湖畔の別荘。ヌーナンは吸い寄せられるように別荘へと向かった。そこで彼を待ち受けていたのは、彼の運命を激変させる一人の少女。怪奇現象が多発し、過去の忌まわしい犯罪に対して死者がヌーナンにつきまとう。

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◇情報

1991.USA/Needful Things

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複数の作品形態がある場合は、存在するものから ハードカバー/文庫/Kindle/DVD/Blu-ray/4K/Prime Video(字幕/吹替) の順番でリンクします。

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