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酸素について

地球上の多くの生き物は、空気中の酸素を呼吸によって取り込み生命活動を維持している。
人間にとって酸素は、あまりに当り前に存在し、そこらじゅうにあふれているものであり、特に意識して接することは少ない。

ところが、私たちが生活しているこの空間以外の世界では、酸素の立ち位置は全く異なってくる。
酸素は、ほかの物質と結合しやすく、ほとんどの元素と反応する。

酸素は宇宙で3番目に質量の多い物質であり、地球以外にもたくさんあるが、上記のような特性からO2ではなくてH2Oなど他の物資と合体した形で多く存在している。
すぐくっついちゃうんだね。

ではなぜ、地球では大量にO2しかも気体という形で酸素がたくさん存在しているのか。

植物が光合成で年間10の11乗トンも作っているからなのだ!!!!

これってすごくない?????
植物ってすごくない?????
地球ってすごくない?????

頭ではわかっていたんだけど…。

当り前だけど当り前じゃない!!
それが酸素なのだ!!

ちなみに、酸素の沸点は−183℃。そこから−218.9℃の間では液体として存在し、それより下だと固体となる。
想像ができないけど…。二酸化炭素が固まったドライアイスみたいな感じか。

さらに、酸素は100万気圧以上の環境では金属光沢を放ち、下部マントルに匹敵する125万気圧以上で超伝導金属とかいうものになるらしい。

なにそれっ!!!!!

生命が誕生したばかりの約40億年前の地球では、大気中や海の中に酸素はほとんどなかった。
水蒸気が紫外線で分解されて多少は作られていたんだけど、すぐに鉄などとくっついてしまっていたんだね。

このころの生命は酸素呼吸以外の方法で代謝を行っていた。例えば海底火山の周りの熱せられた海水に含まれる硫化水素や二酸化炭素を使うとか。
今でもそのような生き物はたくさんいるね。

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そして約32億年前。光合成を行う生命が出現した。
それは藻のようなバクテリアである。

すごく謎なんだけど…、
一体全体どうやって光合成なんかできるようになったんだ!!!
(誰かがちょいちょいってプログラムをいじったとか…)

このバクテリアが、植物などの細胞内に見られる「葉緑体」の元なのではないかと考えられている。
真核生物が光合成を行うバクテリアを取り込んだという説だ。
葉緑体は光合成を行い、独自のDNAを持っている。

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葉緑体

「光合成」は、知れば知るほど、奇妙な活動である。

光のエネルギーを使って、水と二酸化炭素から栄養を作る。
そして、水を分解する時に酸素が出る。

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水を分解する時に酸素が作られるのは、太古の地球で紫外線がやっていたことと同じなのだが、光合成で生成される酸素の量はハンパなかかったんだろう。
酸素は他の物質との結合しても有り余るくらい大量に作られていったのだ。

これはえらいこっちゃ。
当時の生命にとって何でも酸化させてしまう「酸素」は猛毒だった。
毒ガスである!!!! 光合成をするバクテリアの大量発生による大気汚染だ!!!!

現在の地球の大気の約20%が酸素なのだが、これがナチュラルに地球にあったものではなくて、生命が出してるもんだって考えると、とんでもない汚染であるwww

これで多くの種族が滅んでしまった。
だけども、生命はしぶとかった。

やがて、生命は毒である酸素を攻略し、酸素を取り入れてエネルギーに変える能力を身に付けた。
この能力を持った生命を、好気性生物という。酸素を使って代謝を行える生物だ。

これが私たちの細胞の中にいるミトコンドリアの由来ではないかと言われている。

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ミトコンドリア

毒に参った真核生物が生き残るために好気性生物を細胞内に取り込んだというわけだ。
私たちは肺を使って酸素を血液に取り込み、血液で酸素を全身の細胞に送り、細胞の中のミトコンドリアで酸素を細胞の活動に必要なエネルギーを作っている。

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ミトコンドリアも葉緑体みたいに独自のDNAを持っている。

葉緑体といい、ミトコンドリアといい、私たちの体の中に太古の生命が住んでるとか思うと、ゾワゾワするよ。

植物は光合成をするために葉緑体を、我々は酸素に対応するためミトコンドリアを、それぞれの細胞内にプリインストールされた状態で生まれてくるのだ。

で、これが、現在、地球上に多種多様な生命が存在するひとつのとっかかりになっている。
なんと、猛毒であった酸素を使うと、大きなエネルギーを効率よく作ることができ、生命の爆発的な進化へと繋がって行ったのだ。

酸素がなかったら、地球の生命はここまで進化しなかったかもね。
この仕組み、宇宙人もびっくりなんじゃないかな。

こうして酸素と生命との付き合いが始まった。

現在地球上で繁栄している生命の多くが生きていくために酸素を必要している。

かつての地球では酸素が大気を汚染する毒だったなんて、私たちからは想像できないことだ。
と、言いつつも、酸素を攻略した私たちでも高濃度の酸素を長期間摂取すると中毒症状を起こす。

酸素中毒だ。

酸素中毒になると全身の激しい痙攣が起こり、場合によっては死に至る。
死に至らなかった場合でも、肺をはじめとする内臓や細胞が損傷したり、網膜剥離が起こったりする。

我々は一か八かの賭けに出て、そして毒を取り入れ生き残った。
(なんかナウシカの腐海と瘴気を思い出してしまうな…。)

地球の酸素は植物が作っている。

植物が光合成をやめるとほとんどの生命は滅んでしまうだろう。
酸素を使う生命は植物に依存して生きている。

私たちが緑に癒され、植物の風味や香、感触に心地よさを感じるのは、私たちが植物によって生かされているからだ。
この地球は植物によって運営されていると言っても過言ではない。

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なんというシステムなのだ!!!
生命の仕組みを知れば知るほど本当にこんなものが自然発生的にできたのか疑う気持ちがわいてくる。
(やっぱり誰かのプログラミングなんでないか…)

東京のど真ん中にいても、人間が手入れをしない場所にはあっとゆうまに植物がはびこり、人の背丈を越す雑草がにょきにょき生えてくる。
それほど植物の成長スピードは速いし、生命力は強い。
人がいなくなれば都会もあっという間に植物に覆われるだろう。特に日本は植物が育ちやすい。

それなのに、それなのに、それを上回る速度で私たちは森林を破壊している。
これは恐ろしいことだ。だって、本当ならどこにでも根をはって除去するのが大変な植物たちだのに。

東京をちょっと高いとこから見ると、気が狂っている…と思う。

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街は森を切り開いて作られる。
人間による森林破壊は急速に進んでいて、今この瞬間にも広大な森林が失われている。

こんだけ森が失われ続けて地球の酸素は大丈夫なのだろうか…。

どう考えても森林破壊は自殺行為にしか思えない。なんでやめないんだ。目先の安定も重要だけど酸素がなければ元も子もないだろうに…。

人間の社会の仕組みは実に狂っているよ。

 

でも、年間10の11乗トンもの酸素ってどこで作られてるのか…???
私はってきり森でまかなっているのかと思っていたけど、調べてみたら全然違ってた。
地上の森ももちろん酸素を生成してるんだけど…

地球の酸素の70%は海洋中のバクテリアや藻類が作っているのだ。

酸素は海で作られている!!!!!!!!

人間はあっとゆうまにデリケートな生態系を壊してしまう。バランスを崩すのは簡単にできてしまうが、それを元に戻すためには人がいなくなるのが手っ取り早いんだけども、共存しながら回復させるのは困難を極める。

2014年現在、日本は放射能に汚染された水を海に流している。
これが今後の生態系にどのように影響していくのか、誰も知らない未知の世界だ。

もう一度書くけど、地球の酸素の70%は海洋生物によって生産されている。

地球の環境は奇跡としか思えないような絶妙なバランスによって成り立っている。
きっかけがあれば、環境はあっとゆうまに変転するだろう。

酸素を必要不可欠とする我々好気性生物にとって、海洋汚染は滅びの道なのである。

海の汚染はホントにやばいぞ!!!!!!

って書くと森はとりあえずいいのかと思ってしまうかもしれないけど、決してそんなことはない。
森にはもっとすごい役割があったのだ。

高速道路を走っていると、日本って山と森だらけだなーって実感する。
なんと日本の国土の70%近くが森林なのだ。

おー!すばらしい!って思うでしょ。

でもよく見ると、日本の森では杉が目立つ。これは自然に生えている杉ばかりでなくて、建築材料のために植えられた人工杉たちなのだ。
知らなかったんだけど、杉って日本固有種なんだね!!

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日本の人工杉たちは手入れされていないと、足元に影を作ってしまって、他の種類の植物が生きていけない森になってしまう。

つまり、杉ばっかりの世界!!!! 杉多杉の世界!!!!! 花粉症が増えるだけでなくて、多様性に欠けた乏しい森になってしまうのだ。

残念ながら日本の人工杉の森のほとんどが管理できてない。お金がないんだ。

お金がないと何にもできないって悲惨な世界じゃないか。森なんてお金では量れない重要なものなのに。

管理ができてない人工杉の森では、葉が落ちる植物がいないので腐葉土ができず栄養失調状態。地面は日陰になって他の植物たちが根を張らないため治水も苦手…もっさり緑だけどまるで砂漠みたいな森「緑の砂漠」になってしまうのだ。

日本には森がいっぱいあるけど、森林破壊や砂漠化が進む地域とあんまりかわらないのかもなぁ。。

健康な森は栄養たっぷりの土を蓄えていて、そこにしみ込んだ雨水が湧水となって栄養豊富な川となり、川は森の栄養を海に運んでいる。

海の生き物たちも森によって育まれているのだ。海にとって森はとっても大切。

森に栄養がなくなってしまうと、海の生き物たちを養う能力もなくなってしまう。

森林破壊も結局は海の環境破壊に繋がり、地球の多くの酸素をまかなっている生物たちの生態系を壊してしまう。

全部が繋がっているんだ。

良いものも悪いものも循環してしまう。

それが地球。

今までずっと書いてきたけど、地球の生命が生きるために不可欠な「酸素」は地球には自然に存在しない。
植物が作らないとなくなってしまうんだ。そして現状では海の生き物がその多くをまかなっている。

これを意識して文明を作って「いるか」「いないか」は大きな違いだ。
とてもとても大きな違いだ。

長い生命の歴史の中で地球の環境は決して一定ではなかったし、太陽活動の影響によって暑かったり寒かったりもしてきている。

今はたまたま安定している時期だったりもして、その間にぬくぬくと発展した人間は穏やかな地球しか知らない温室育ちなのだ。

人間の歴史なんて短いもんだから、今の地球の環境が絶対的という勘違いをして好き勝手やってしまっている。

でもそろそろ、このぬくぬく安定期は終わりに近づいているのかなと感じている、ここ数年特に。
環境は変動している。
環境破壊とは関係なく氷河期に突入するかもしれないし。
もしかしたらこれから人類は厳しい世界を生きていかなければいけないかもしれないね。

だからこそ、私たちは地球の環境変化に敏感になって、地球の声にしっかり耳を傾けていないといけないんだ。

人間は温和な時代に科学を進化させて、どんな困難でも乗り越えられる能力をに付けたんだじゃないの?

この世界がどんな仕組みで成り立っているのかもわかる知恵を持っているじゃないの。

私は人間を信じたい。出来るはずだ。

地球には「酸素」という毒を使って育まれた奇跡の生態系がある。
これは決して当り前のものではない。失われたら二度と作れないだろう。
好気性生物の私は酸素を使う生命に愛着がある。
滅んでほしくないと思うんだ。

人類は消費と争いの歴史に終止符を打ち、生命と宇宙の秘密の解明に力をそそぐべきなのである。

酸素と地球の生命のために。

2014.07.26
※記事の内容は私が独自に調べてまとめた内容なので間違いもあるかもです。そしたらごめん。

こんなことばかり考えている私がSF小説など書いてる

大橋ちよのnote

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