Index

Column

> フランケンと詩人の関係

フランケンと詩人の関係

仕事でフランケンシュタインについて調べる機会があった。

フランケンシュタイン。その名を知らない人はいないというくらい有名。
この名前を聞いて思い浮かべるのは、ツギハギだらけでおでこに釘が刺さったあの顔。

学生時代、授業でイギリスの詩人、パーシー・ビッシュ・シェリーの作品を学んでいた時のこと、先生が 「このシェリーの奥さんが 『フランケンシュタイン』 を書いた人」と言っていた。

えーーー!!! そうなの!?

『フランケンシュタイン』 の作者が女性であることや、そんな昔に書かれたもんだってことも知らなかった。
そして、、、

≪フランケンシュタイン≫ は怪物の名前ではない!!!!

これは、怪物を生み出した博士の名前!!!

日本人の大半の例にもれず、私はずっと 「フランケン」 が怪物の名前かと思っていた。
明らかに 『怪物くん』 の影響。

07_01

いやはや、マンガの影響力たるやハンパない。
この授業の時に、先生がチラっとフランケン誕生の秘話を語ってくれた。

今回、仕事でちょっと触れることによって、その記憶がポットよみがえってきた。
そういえば、「フランケンシュタイン」 って作品になるまでの背景が何か面白かったような…。

というわけで、調べてみた──


メアリー・シェリー … 「フランケンシュタイン」 の著者
パーシー・シェリー … イギリスの詩人。メアリーの旦那。
クレア … メアリーの義妹
バイロン卿 … イギリスの詩人
ポリドリ … バイロン卿の主治医
ハリエット … パーシーの正妻。

詩人パーシー・シェリーには元々ハリエットという奥さんがいた。
が、あんまり夫婦仲はうまくいっていなかったようで、結婚の翌年くらいに出会った美少女メアリーにめろめろになる。

07_02

ハリエットとの間には子供もいたようだが、なんとパーシーはメアリーを連れて駆け落ちしてしまう。
1816年、パーシー&メアリーは、メアリーの義妹クレアと一緒に詩人バイロン卿を訪ねてディオダティ荘 (スイス) に行く。
バイロン卿は恋愛スキャンダルを起こしてここに避難しに来ていたのだが、実はクレアもバイロン卿の愛人だったのだ。

ディオダティ荘にパーシー&メアリー、バイロン卿とその愛人クレア、バイロン卿の主治医のポリドリがそろう。

07_03

スイスでは毎日雨で、屋内に閉じこめられている面々はだんだん飽きてきた。
それで、当時、流行だったと思われるオカルトちっくな話を夜な夜な読んだり噂したり、怪しげな会が開かれた。
それが俗に言うディオダディ荘の怪奇談義である。

そんなおりバイロン卿が、みんなでそれぞれ、怪奇小説を書いてみてはどうか、と提案した。
こうして メアリーが怪物小説の金字塔 『フランケンシュタイン』 を生み出すこととなる。

このとき彼女はまだ19歳。若くて美人なうえに頭もよいとくれば、バーシーがめろめろになるのも無理ないか。
ちなみに、そのパーシーは途中で飽きて断念、義妹クレアは執筆に参加せず、言い出しっぺの バイロン卿は断片だけ書いて終わりだった。

この断片を元に主治医ポリドリが書いたのが『吸血鬼』。
この作品は貴族的なイメージのある現代風ヴァンパイアの元ネタになっている。

現代のホラー小説・映画に多大な影響を与えている2作品が同じ空間を発端に生まれたというのは何とも奇妙。

そして…

1816年 シェリーの正妻ハリエット 池に身を投げ自殺
1818年 パーシー&メアリーの長女 病死
『フランケンシュタイン』 出版される。
1819年 パーシー&メアリーの長男 病死
『吸血鬼』 が雑誌に掲載
1821年 ポリドリ 服毒自殺
1822年 パーシー ヨットが転覆して溺死
クレアとバイロン卿の娘 病死
1824年 バイロン卿 ギリシア独立戦争に参加したが現地で病死

パーシー を失い25歳の若さで未亡人となった メアリー は再婚せず、残った一人息子を育て54歳でその生涯を閉じた。

ちゃんちゃん。

って! みんな続けて死んじゃったじゃないの!!
何故????

『吸血鬼』を書いた ポリドリ は自殺? 動機を調べてもわからなかった。
つうかよ! ハリエットも自殺してるじゃないの!
二人がスイスに行った年に!

むかーしむかーしのことなので真相はわからないけど 『そして誰もいなくなった』 状態でメアリーはどういう思いだったのだろうか。。
映画になりそうな出来事…と思っていたらなっていた。

ゴシック(1986)

それにしても、ヨーロッパの貴族文化ってアジア平民の私から見るとかなり奇妙ね。。。

<参考サイト>

フランケンシュタイン伝説
http://structure.cande.iwate-u.ac.jp/german/frankenstein.htm

吸血鬼小説の系譜
http://www.vampire.gs/j.html

吸血鬼の容姿の歴史
http://www.yuzuriha.sakura.ne.jp/~akikan/vampire/vamp1.html

2006.02.4
※記事の内容は私が独自に調べてまとめた内容なので間違いもあるかもです。そしたらごめん。
▲TOP